【ゆっくり解説】なぜ地球以外の天体には土が存在しないのか?-地球から土がなくなる日-

この動画から学べること

本動画では、私たちが普段意識しない「土」という存在の驚くべき複雑さと、人類の未来におけるその重要性について深く掘り下げます。

1. 土の基本的な定義と構造

  • 土とは、岩石が崩壊した砂や粘土に、腐敗した生物遺体(腐食)が混じったものであることを学びます。特に「腐食」は、植物の遺体だけでなく、それを分解・利用する土壌生物や微生物の死骸、それらが作り出す物質すべてが含まれる複雑な要素であることを理解します。

2. 土の進化の歴史(5億年)

  • 土は地球誕生時から存在したわけではなく、約5億年前にコケ植物や地衣類が陸上に進出したことから始まりました。シダ植物の登場による粘土鉱物の増加や、ミミズなどの土壌生物による団粒構造の形成、そして樹木(裸子植物)の登場と、それを分解するキノコの進化 など、生命との相互作用を通じて現在の豊かな土壌環境が構築された過程を追います。

3. 人類が土を作れない理由

  • 土壌に含まれる微生物は地球上に1兆種類も存在すると考えられており、大さじ一杯の土には1万種の微生物が含まれます。これらの微生物は相互作用の中で生きており、その99%は土から取り出すと死んでしまうため、研究が非常に困難です。土の内部の複雑な生物ネットワークが、人間の脳のニューロンネットワークのように未解明であることが、人工的に土を作れない最大の理由です。

4. 土の危機と人類の未来

  • 現在、人類の食料の95%以上が間接的に土に依存していますが、農耕によって土の栄養分は奪われ続け、土壌は劣化します。1cmの土を作るのに自然界では100年〜1000年かかるのに対し、使い続けると10年で1cm失われるため、土は人類にとって非再生資源、消耗品と言えます。

5. 化学肥料の光と影

  • ハーバー・ボッシュ法による窒素肥料の合成は、世界の人口を爆発的に増加させましたが、これは化石燃料という有限資源を消費して成り立っており、根本的な解決にはなっていません。

6. 希望と課題

  • 人工土壌の研究(物質循環を起こせる微生物の最小限の組み合わせの探求) や、遺伝子工学による植物への窒素固定能力の付与、フードロスの削減などの人々の行動変容が、今後の人類の生存にとって重要な鍵となることを解説します。

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